PUSHIM×韻シスト TO THE NEXT

 

MV解禁!!ソウルフルでファンキーな大人チューン

筆者が韻シストと出会ったのはもう随分と前になる。地元でバンドをやっていた頃、シーンに嫌気が差して表現することに息苦しさがつきまとっていた。日本語ヒップホップを当時そこまで詳しくなかった筆者は、ART OFFICIALやARTS THE BEAT DOCTORのようなジャズやファンク、ソウルの影響が強い日本のバンドがいないか調べてみた。

調べてから30秒で知ったバンドが韻シストだ。日本にこんなバンドいることを知らない自分のDIGの浅さを恥じたが音楽を知ることに遅いも早いも関係ない。きっとそれは韻シストもPUSHIM本人も認めてくれるだろう。少なくとも筆者が知る韻シストとはそういう人間が揃っている最高のバンドだ。

さて、今回の記事ではクイーンオブレゲエとも称される最高のシンガーPUSHIMと韻シストのコラボミニアルバム「TO THE NEXT」の情報とアルバムタイトルにもなっているリード曲「TO THE NEXT」のMVを紹介していく。この記事では単にフリーライターとしてアルバム情報を伝えるだけではなく、トラックメーカーとしてサウンド分析も行っていく。

コラボミニアルバム TO THE NEXT 2018/2/14

2月14日リリースされるコラボミニアルバムのテーマカラーは『青』。そしてリード曲である「TO THE NEXT」のMVはそのテーマカラーである青色の衣装を着ての撮影。MV撮影後、韻シストとPUSHIMの両者からコメントが届いている。

アルバムはPUSHIMと韻シストのコラボ楽曲である「TO THE NEXT」、「Dreamin’」そして韻シストバンドがサウンドプロデュースするPUSHIM楽曲「Rising Sun」、韻シストの楽曲「とまらない」、韻シストバンドの楽曲「SPACE&TIME」に加え、DJ Mitsu the Beatsの「TO THE NEXT」のリミックストラックという豪華な全6曲からなる。

PUSHIM オフィシャルサイト

韻シスト オフィシャルサイト

韻シストは2017年7月に自身のアルバムをリリースしたばかりの中、今回のホットなニュースになる。全国ツアーを回りさらに多くのヘッズを踊らせる彼ら。PUSHIMとの相性は前回のコラボで既に証明済み。まずは今回解禁されたMVをご覧いただきたい。

TO THE NEXT サウンド紹介&分析「ここがやばい」

まず述べたいのは筆者は韻シストバンドのドラマー・TAROW-ONEの叩く音が大好きであることだ。前回のコラボからいくつかのイメージを持ってこの曲を聞いた。しかし、それはイントロのドラムの熱さからいきなり崩されてしまう。抜けの良いスネアと太過ぎず細すぎないタムの音が気持ち良い。楽曲全体を通して夜っぽい印象を覚えるのだが、そこで良い味を出しているのはハイハットとシンバルなどの金物にある。少しスモーキーなハイハットをオープンにした際の音が楽曲全体の夜っぽさを出しているように思う。

Shyoudogはファンキーかつドラマチックなフレーズが特徴の韻シストのベーシストだ。それにShyoudogは韻シストのサウンドを支える柱のようなもので、韻シストファンにとってはそのベースサウンドは特別なものがある。しかし、この楽曲ではそれだけでなく、PUSHIMのボーカルパートの起伏にピッタリと寄り添う心地さがある。TAROW-ONEとのドラムで作り上げたグルーヴの上でTAKUのギターが大人なトラックを確固たるものにしている。

韻シストのフロントマンはBASIとサッコン。個人的なBASIのラップの「音」について分析なのだが、特徴はドラムとの音の連なりの心地よさにある。これまた個人的な意見なのだが、ラッパー「音」には声やフロウを含めた大きく分けて2つのタイプがあると思っている。一つ目は「リズムトラック的アプローチ」。二つ目は「上物的アプローチ」である。BASIは前者のリズムトラックに沿ったアプローチをしていると分析する。特にKICK(バスドラム)とSNARE(スネア)に対して気持ち良いツボを抑えている。

上記のことを踏まえてサッコンは上物的アプローチであると筆者は感じる。抑揚の付け方や音の伸ばし方の遊び心に余裕があり、これはサッコンならではの特徴だ。もちろん、BASIとサッコンはお互いにリズムに寄り添っているし、メロディをカバーするパートはあるのだがこれまでの楽曲全てにおいて考えると二人のラッパーの違いはそこに出ていると思う。そして、それこそが韻シストのヒップホップバンドの最大の魅力だ。

「TO THE NEXT」の話に戻ろう。この曲はやはりPUSHIMが中心になっている。PUSHIMのフックから組み立てていると思えるような大人の余裕と色気を曲の全体を通して感じる。そしてリリックは両者の特徴である、日常の出来事から得たものを出しているようだ。

セマフォ ポイント

上記したものをまとめ、筆者セマフォが「ヤバい」と思うポイントはこちらだ。

・ソウルフルで大人なトラック
・韻シストサウンドをけん引するPUSHIMのフック
・コラボでもいつも通りラッパー両者が交える声の心地よさ

BONUS TRACKS

冒頭記述したバンド ART OFFICIAL、ARTS THE BEAT DOCTORをご存知だろうか。両者ジャズ、ファンクなどのサウンドから成り立つヒップホップアーティストだ。フィラデルフィア出身のART OFFICIALは同じくフィラデルフィアのヒップホップバンドThe Rootsよりもさらにジャズ色が強い。韻シストとはタイプが違うものの、ヒップホップとジャズが好きな人には間違いなくおすすめできる。

 

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