セマフォの屋根裏部屋は今後なにを伝え、なににこだわるのか

 

「関心」や「注意」を引き付けることにこだわるメディアを目指す

セマフォの屋根裏部屋は2018年11月に二周年を迎える。「たった一人で考える時間を作る」ことをテーマに、これまでにゲーム開発者へのインタビューを40本以上掲載してきた。もちろん、数百本に及ぶゲームニュースやゲームアップデート情報も翻訳し伝えてきた。ただし、今後はゲームはもちろん、音楽やライフスタイル、様々なカルチャーを伝えていくことにした。当然、ゲーム情報を伝えているのは私自身がゲーマーであることが理由なのだが、私はゲームだけで人格が成り立っているわけではない。音楽やストリートカルチャー、DIY、アウトドア、様々なライフスタイルに触れて生きてきた。ゲーム用に拵えたマインドなんてものは屋根裏部屋に存在しない。音楽やスケートカルチャーなどから得た、カウンター的なマインドこそがここには渦巻いており、常にメインストリームとのギャップを明確にしてきた。例えば、大手ゲームメディアが見向きもしないゲーム開発者のリアルにスポットを当ててきた。「ゲームが売れた」、「面白い不具合が見つかった」というキャッチーなニュースを消費して、お金を得ることを否定したりはしないが、屋根裏部屋は同時に開発者の気配を漂わせてきた。それは開発者に媚びを売るということではなく、「誰がどんな思いで開発したのか」というのは消費者であれば関心を持つべき情報であると判断したからだ。2017年5月、『Deceit』の開発者へのインタビューから、現在に至るまで数多くの開発者がここには登場してきた。大ヒットゲーム『Dead by Daylight』や『The Forest』、『Portal Knights』、『SCUM』、『Factorio』などの開発者インタビューは屋根裏部屋が日本で初めて行ってきた。

残念なことに、開発者がどういう思いでゲームを作ったのか、ということに関心を持つ読者層は限られていた。そして、関心を持った読者に共通することは、ゲーム以外の趣味を持っていたり、モノづくりの現場の空気が好きだったり、クリエイターがなにかを制作する姿に、ある種の「美しさ」を感じているということだった。彼らが「発見」や「理解」に躊躇がなく、開発者の言葉を咀嚼し、栄養にしているような話を聞くときに、私は「手ごたえ」や「張り合い」を感じていた。

取っ付きやすい記事に溢れたメディアにすることはどうしても考えられなかった。ゲームにおける、テクノロジーやワークスタイルが進化する中で、技術を使いこなし、働き、人と結び付けるのはやはり「ヒト」なのだ。そういった人々のことを無視することはできなかった。そして、そういった人々のことを伝えるだけでなく、もっと多くの読者に正しい方法でシェアするべきだとも悟った。上述したように、屋根裏部屋はストリートから生まれたマインドで渦巻いている。具体的に言えば、「PUNK ROCK」や「HIP HOP」、「スケートボード」、「BMX」、「タトゥー」など、メインストリームとは切り離されたところにあって、生き方に連想されるカルチャーである。そうであるならば、なぜ私はストリートカルチャーを伝えずに、ゲームトピックだけを伝えているのだろうか、という疑問が生じたのだ。そこから、音楽をはじめとする様々なカルチャーについて伝えることの迷いは消えていった。

もちろん、今後もゲームニュースやインタビューを伝えていく。ゲームと音楽、ライフスタイルなどの記事を並べることに意味を感じるため、そういったスタイルをとっていく。ただし、そういった記事を同時に発信することに違和感を抱いたり、関心のないゲーマーは当然いるだろう。そして、セマフォの屋根裏部屋をフォローを辞めるゲーマーも当然いるだろう。そういった読者を止める理由はない。もし、興味を持つようになった時は帰って来てくれればうれしい。そして、いつも読んで頂いている読者には今後も尖った記事を公開していくため、贔屓にしていただけると嬉しい限りである。

今後、ライブ配信サービスPeriscopeで「リアルタイムゲームレビュー」という企画も行っていくため、フォローして頂ければ幸いだ。

2018/11/16 セマフォの屋根裏部屋

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