BASI 愛のままに feat 唾奇 サウンド分析&レビュー 

 

BASI 愛のままに あまり語られていない、2人のMCの共通点とは。

BASI 愛のままに

事で上手くいかないとき、彼女と上手くいっていないとき、友達と喧嘩してしまったときなど気分が落ち込んでしまう。気分がムシャクシャしたり、なかなか立ち直れなかったりすると、僕は「ハッピーな曲」か「ダウナーな曲」のどちらか2つを聞くようにしている。「ハッピーな曲」は例えば、Long Beach Dub Allstarsの『Sunny hours』のようにポジティヴなリリックとサウンドが特徴の楽曲だ。「ダウナーな曲」は、Nirvanaの『Smells Like Teen Spirit』が分かりやすいだろう。

韻シストのフロントマンであり、ソロプロジェクトでも活躍するラッパー、BASIは不思議な人物だ。所謂、Hip-Hopらしい立ち振る舞いというよりも、自然体でヒップホップを語っているような印象がある。それに、他のMCが書かないような「女性目線」のリリック(Fallin’において)を書いたり、なんだか色気のある人物なのだ。

そんなBASIが2017年だったか、2018年の頭だったか、福岡のKieth Flackでラッパーの唾奇と共演したことがあった。なんじゃ、このメンツは!!と思っていたが、その頃はまさか、その2人が一緒に音源を出すなんて考えもしなかった。本稿はBASIと唾奇の合作である、『愛のままに feat. 唾奇(以下、愛のままに)』のサウンド分析とレビューを行っていく。

BASI

抽象的な表現の隙間に、リスナーの具体的なエピソードが埋まるような感覚。

ントロの鍵盤の音からすでに「ハッピーな曲」という印象が強かった。一つフィルターを挟んだような、鍵盤と温かみのあるベースの音に打ち付けるような、スネアのクローズドリムショットの「カツッ!」という音が気持ち良い。『愛のままに』はハッピーなトラックで出来上がっている。

唾奇のVERSEは、この曲のテーマが「愛」であることから、家族についての考えるという切り口で始まっている。唾奇のラップの特徴としては、一つの言葉における音が聞き取りやすいということだ。また、斬新な韻を踏んだり、真新しい言葉遣いをしなくても、唾奇にしか言えないことがあると僕は感じている。例えば、「とうに狂っている、この世界で愛しているって言う。この言葉の意味について深く考える」というフレーズだ。唾奇は具体的なエピソードをリリックの中では語らないものの、自身の体験の中から得た、愛についてのヒントをラップしているのだ。これは、『愛のままに』以外の楽曲でも聞くことができる、リリックである。

BASI 愛のままに 唾奇

BASIのリリックにおいても、実は唾奇と同様に具体的なエピソードを書き連ねるというよりも、抽象的な表現や韻の中に愛というテーマを語っている。特に唾奇が愛という言葉について家族を通して考えているのに対して、BASIはヒップホップそのものへの愛を語っているように感じた。

実のところ2人とも、それほどフリーキーなフロウを多用することはない。ただし、ビートの気持ち良いところでラップするという技術が非常に高く、それでいて聞きやすいメロディに乗せてラップしている。だからこそ、リリックが自然と耳に入ってくると思われ、上記した強烈なフレーズが記憶されていく。まるで、音源を聞いてくれる相手の顔が浮かんでいるかのような印象さえある。きっと、リリックが届いた人々は、抽象的な表現の隙間に自身の具体的なエピソードが埋まっていったのではないだろうか。

・BASIC MUSIC オフィシャルサイト
・BASI Twitter
・唾奇 Twitter

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