Deceit 開発チームインタビュー”模索”と”発見”による恐怖

 

Deceit インタビュー ”人狼FPS”が生まれた理由

このインタビューは2017年、セマフォの屋根裏部屋が最初に行ったインタビューである。この記事を読みやすくブラッシュアップしているのが2018年3月である。当時、この後に自分が20本以上のゲーム開発インタビューを行うとは思ってもいなかった。このインタビューはセマフォの屋根裏部屋の現在の形を決めてくれた大切な記事である。恐怖の根幹へのアプローチを行い続ける開発チームのインタビューを楽しんで頂けたら幸いだ。

「Deceit」は人狼ゲームとFPS特有のシューター要素をミックスさせた作品である。インタビュー当時、まだ有料ゲームであったが、現在は無料になっている。日本国内でも”人狼FPS”としてリリース前から注目されていた。まさに心理戦アクションと言えるゲームだ。

 

恐怖というのは「怖い」とプレイヤーの心が感じる”何か”である

――それではインタビューを始めます。僕は「Deceit」は非常にユニークなFPSだと思っています。なぜなら恐怖を用いた心理戦によるゲームはこれまでに新しいからですからね。このユニークなアイディアはどのように生まれたのですか?

アイディアは様々な異なるところからインスピレーションを受けて、それをチームのメンバーそれぞれが持つ話を以てミックスしていったんだ。マネージングディレクターのJamesと古いボードゲームの「人狼ゲーム」について話している時から始まったんだ。我々はまだ「バイオハザード」のようなホラーゲームから学ぶことがたくさんあると思っている。それに心理戦で言うと「マフィアゲーム」や映画の「遊星からの物体X(原題:The Thing)」そして僕が好きな漫画「Doubt」もリファレンスとして挙げられるね。

※Doubt・・・月刊少年ガンガンにて2007年から2009年まで連載されたデスゲームを題材とする漫画。

――私はゲームで使用されているマップは不気味で閉鎖的であると感じました。あなたたちがこだわったプレイヤーの恐怖を増幅させるためのギミックはなんでしょうか?

レベルデザインは、プレイヤーたちを対立させる設計にして互いに疑いを持たせることから作られたのさ。そんな状態であのエリアにいたらプレイヤーが「ここは安全じゃない」「危険だ」と感じたり、何かに接触してしまうかのような感覚。そういった意図があるんだ。我々はプレイヤーに「周囲に何があるか分からない」「でもそこに留まるべきなのか?」「それとももっと良い場所に行くべきなのか?」そういった模索と発見による恐怖を何よりも感じて欲しかったんだよ。

Deceit

――このゲームには2種類のスリルがあると思っています。一つ目は心理戦による駆け引きによって生じるスリル。二つ目は恐ろしい姿に変身できる感染者がもたらす恐怖によるスリル。このスリルをゲームに作ることにおいて、あなたたちがこだわった点、または苦労した制作箇所などありますか?

君が言ったようにその二つのスリルのバランスをどこで取るか、それを見つけるのがとても難しかったんだ。恐怖というのは「怖い」とプレイヤーの心が感じる”何か”である必要があるのさ。恐怖の中でも差し迫るような恐怖はプレイヤーをその場から逃げたくさせなければならない。しかもそれは心理戦というゲームのままでね。だから二つのスリルを同時に保つことは全く持って難しいんだよ。ましてや僕らはさらにゲームを良くするためにアップデートによる新機能も導入するから、そのたびに恐怖のバランスを確実に保たなくちゃいけないんだ。

――もし問題なければ、今後追加されるギミックや要素など教えてください。

今後の追加要素についてはこのページにいくつか記載しているんだ。我々は多くの追加要素を加えて「Deceit」が完成したと感じられるようになることを狙っているよ。現代のゲームでもポピュラーなシステムを取り入れて良いものにしていきたいんだ。例えば君がどこから撃たれたか、それを知らせるための何かとかね。

Deceit

――多くのPCゲームが最近ではコンソール版をリリースしていますが、「Deceit」はコンソール対応の予定はありますか?

我々は少なくとも一つのコンソール版をリリースするために様々なことを調査している。けど、コンソール版で問題が発生しないように、僕らはPC版の開発を進める必要があるんだ。

――現在のゲーム業界は面白いゲームであれば世界のどこからでも話題と注目を集めることができるように思います。「Deceit」というゲームクリエイターとして現在のゲーム業界に驚きや発見はありましたか?

我々はまずアジアでのゲーム人気の高さを知った時に驚いたよ。特に中国さ。生産国として見た訳ではなくね。面白いことに僕らの作ったゲームが中国の有名なゲームに似ている、って話さ。それから、違う文化も持ち、違う場所に住む人たちが協力して仕事をしようとすることは本当にエキサイティングなんだ。

ゲーム業界にフォーカスすると、小さなスタジオでもクリエイターたちは制作を楽しんでいるし幸せなんだ。他のゲームの製作が上手くいった時に僕らは自分たちのことのように嬉しいんだ。僕らは時々、僕ら「Deceit」のDiscordサーバーに訪れた開発者の経歴を聞いた上で、他の会社も紹介したり獲得することもあるよ。

――私は日本でウェブサイトを運営しているのですが、あなたたちが影響を受けた日本のゲームはありますか?

「Deceit」というゲーム制作において特定の日本のゲームに影響を受けたことはないんだけど、もしそのようなゲームがあるなら、今後ぜひ参考にしてみたいと思っているよ。けれど、このゲームに関係なかったとしても僕らのスタジオには多くの日本のゲームや偉大なゲームクリエイターへの尊敬の念があるんだ。行き詰った時に思い出すようにしているのは宮本茂の”ゲーム作りはゲームを遊ぶほど簡単じゃない。けど自分自身への挑戦と新しい何かを見つけようとしているんだ”という言葉なんだ。それからこの前、ヨコオタロウのドキュメンタリーを見たんだんだけど凄くインスピレーションを得たよ。僕はクリエイターとして彼と自分のチームのJamesに類似点を感じたんだ。彼らは自分たちのプロジェクトに対して全ての情熱を注ぎ込むんだ。素晴らしいことさ。

それからこの前、仕事の休憩中にJamesとプロデューサーたちと昔の日本のゲームについてずっと話していたんだ。「Mother2」とか「聖剣伝説2」についてね。

――最後に、日本の「Deceit」ファンへメッセージをお願いします。

「Deceit」を遊んでくれて本当にありがとう。楽しんでくれているといいな。我々は「Deceit」の制作で多くのことを学んだんだ。次回作を作るとき、もっとみんなを興奮させられることを願っているよ。

「Deceit」開発チーム Automaton

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ライター/Semapho

インタビューを終えて ”ずっと「Deceit」に支えられていた”

セマフォの屋根裏部屋では「Deceit」の話題を以前から取り上げていた。また、筆者自身も以前ゲーム制作を携わっていたこともあり、このインタビューにおけるゲーム制作の情熱に突き動かされる何かを感じた。そして、この2017年に行った記事をブラッシュアップしている2018年3月に至る。つまり、ずっと「Deceit」というゲームの開発チームの一言でここまで走ってこれたのだ。

”プログラムは芸術”で”プログラマーはアーティスト”であるように、実はいつも触れているゲームの裏側にはゲームが好きという思いから、ゲームを作る側になったクリエイターたちの情熱と歳月があることを伝えられていけたら私は幸せである。

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