HER STORY Viva Seifert インタビュー 冷たいビルにおいて、たった二人撮影した舞台裏と「孤独」

 

実写ベースのアドベンチャー『HER STORY』でイヴとハナを演じた、Viva Seifertは2015年の「Game Award」において「ベストパフォーマンス賞」を受賞した。
初々しさと、どこかに感じる清々しさは彼女の経歴に関係があるのかも知れない。
彼女は「ミュージシャン」であり、国を背負って戦っていた「元体操選手」なのだ。

今回のインタビューでは、『HER STORY』撮影当時の秘話から、彼女のライフスタイルまで聞くことができた。
冷たい密室とゲーム業界のプロフェッサー、Sam Barlow氏との邂逅を追った。

HER STORY 主演 Viva Seifert

 

HER STORY 奇才 Sam Barlow に導かれたミュージシャン

――あなたは素晴らしいキャリアを持っていますね。体操選手、ミュージシャン、そしてゲーム『HER STORY』では主演を務めています。そして体操選手としては1990年の「Common Wealth Games」で銅メダルを2個獲得しています。なぜ体操選手からミュージシャンになったのですか?

「Common Wealth Games」体操をはじめとする、オリンピック競技の大会。

私は4才の頃からピアノを学んでいて音楽は常に私の中にあったの。そしてそれはダンサーとして、体操選手として、必要不可欠なものだったのよ。まるで音楽によって動かされていたかのように、私にとっては原動力だった。
一度ダンスシューズ脱いだら、ミュージシャンになることはすごく自然なことだったかな。私の兄がバンドに入らないか?って誘ってきたから、兄のバンドでキーボードを弾くことになったのよ。
そして、当時は私はそれまでにケガをいくつかしていたから、リハビリ期間には既に音楽をしたいと思っていた。
そして音楽に夢中になったってわけね。

――私はあなたの所属したバンド『Bikini Atoll』そして『Joe Gideon and the Shark』の楽曲を聞きました。そのバンドの中であなたはいくつかの楽器を弾いていましたが本格的に楽器に取り組むようになったのはいつ頃ですか?

ピアノは弾いていたんだけどね。本当はブルガリアで体操のナショナルチームに選ばれた時だって、ピアノも続けたいと思ったんだけど、私の練習スケジュールではそれは叶わなかったの。
だから当時はピアノの練習をやめてしまった期間もあるわね。

――バンドで活動する上で驚きや発見はいくつかあると思われます。あなたがバンドとして活動する中で最も印象的なエピソードを教えてください。

私の好きなエピソードは『Joe Gideon and the Shark』の時に『Nick Cave and the Bad seeds』とツアーしたことかな。あとは「Maida Vale スタジオ」でライブセット組んでレコーディングしたのよ。

――あなたがミュージシャンとして影響を受けたバンドやミュージシャンを教えてください。もし良ければ、今あなたがハマっているバンドを教えてください。

私は大体アメリカのLo-fiな音楽を好きになるかな。『Bill Callahan』、『Bonnie Prince Billy』、『Wilco』、『Grandadd』それから、『Bruce Springsteen』、『Nick Cave』かな。
夫と私は日本の『ゆらゆら帝国』ってバンドが大好きなの。娘が2歳半の時にマジックホリデーでプッリャ(イタリアの都市)に行ったとき、一緒に10日間『ゆらゆら帝国』の曲に合わせて、笑って踊って過ごしたことを思い出すわ。
あと『Afrirampo』の『PiKachu』もすごくインスピレーションを与えられたわ。あと『Laurie Anderson』も好き。これらはリストに挙げると無限にあるし、常に変わってくるかな。

私はまだそのトロフィーを見て、あのLAの夜を夢見るの。

――次に、HER STORYについてあなたの話を聞かせてください。どのような経緯であなたは『HER STORY』の主演を務めることになったのですか?

私はSam Barlow(ゲームデザイナー)と以前に別のゲームで仕事をしていたの。
その時のことを話すと、オーディションがあったんだけど、私はその途中ですぐに起用されることが決まって、演じることになったのよ(信じられなかったわ!)。
とにかく、その後ある日突然、彼から「会社を辞めて独立して新しいゲームを作るための資金を集めている」ってメールがきたの。彼は「ゲームの”中心となる人物”には私が完璧」だと言ってたわ。そして、「興味ある?」ってね。
私たちは意気投合したの。だって、私は彼に素晴らしいアイディアがあることは分かっていたし、彼はきっと特別なものを作ってくれると信じてるから。
だから当然、「イエス」と答えたわ。そして彼はきっと彼の中にある「中心となる人物」と私をすり合わせていったのだと思う。

 

Sam Barlow

「Sam Barlow」 『HER STORY』ゲームデザイナー

 

――『HER STORY』はゲーム中に膨大な数の短い動画が存在しますが、撮影日数はどのくらいでしたか?

5日間ね。

――あなたは彼女を演じる上で役作りをしましたか?また、演じる上で最も難しかったことは?

私は脚本を読んでそのキャラクターに入るのに膨大な時間を費やしたわ。
私自身の練習とリハーサル。どこへ行くにも脚本を手放さなかったの。私は車のシートに座って脚本を覚えたり、読んだりするのが好きなの。それによって私は泡のようなものに包まれて誰も邪魔できない私だけの世界が作られるからね。
私はいつもギターでそれを歌って聞かせていたから、家族全員が撮影が始まるまでに『雨と風の歌』を覚えちゃって(笑)。
トーストなんかを焼いた朝食の後、子どもが学校に出かける前に一曲歌っていたかな。

――あなたはこれまでの経験が『HER STORY』の撮影に役立った、と感じたことはありますか?

『HER STORY』以前に、彼と仕事をした経験はすごく役に立ったわ。その経験は仕事中気が詰まりそうな時に、理解できたり耐えられるものにしてくれた。
彼は私が何をすればプロジェクトに何をもたらすか分かっていた。私はそれを自分の慰めにすることにしたのよ。

――私は実際にゲームをプレイしてみて、得体の知れない恐怖や人間の奇妙な点を感じました。撮影現場の雰囲気はどうでしたか?

私たちはコーンウォール州にある冷たいビルの一室で撮影したの。
Samはオフィスルームを借りて、そこで彼と私とビデオカメラだけだったから強烈な印象を感じたことを覚えてる。
どこにも隠れる場所はないし、休憩もない。それは私にとって未知なものだったの。
彼は何をすればどうなるのか知っていたのよ。そして彼のビジョンを私が理解できていないこともね。
だから私はただの登場人物になること、そして彼が導く私の最高の演技をすることにベストを尽くしたわ。

――あなたは「Game Award 2015」においてベストパフォーマンス賞(最優秀の演技に与えられる)を獲得しましたね。あの時はどのようなことを感じましたか?

それは間違いなく私の人生のハイライトの一つね。
私はスピーチを用意してなかったから、即座にスピーチしなきゃいけなかったの。
私はとにかく、Samに感謝を伝えたかった。私がそこに立っている理由は彼によるものだったから。
私はその夜を噛みしめたの。そして、残りの人生でも覚えておきたい。
私はそのトロフィーを見て、まだあのLAの夜を夢見るの。

 

 

――次にあなたのライフスタイルについてお聞きします。素朴な質問なのですが、あなたは普段テレビゲームをしますか?

いいえ。私はいまだにテトリスだけね(笑)

――私はあなたのこれまでのキャリアから「家族」というキーワードを感じます。少し抽象的な質問になるのですが、あなたにとって「家族」とは?

家族は私の全てよ。私は私のために生きる。私は二人の子どもと夫のために全てをする。そして彼らは私の人生に意味を与えてくれるの。家族がいなければ何かをしようとすることに意味はないもの。私は「家族」にとっての誇りになりたい。

――体操選手として、ミュージシャンとして、役者として、ファンはあなたの次の仕事に期待しています。あなたは次の仕事について検討していますか?

私はもっと音楽をしたいわ。
私は『Archie Bronson Outfit』のメンバーである夫とコラボレーションするの。私たちはアルバムを製作する予定ね。
他にも、もっと新しくてエキサイティングなプロジェクトを目指している。もっと多くのビデオゲーム、映画、劇場での仕事をね。

――私は日本でウェブサイトを運営しています。好きな日本文化や日本食などはありますか?

私は日本食が大・大・大好きなの。私は今、綺麗なシーサイドと波、空気を味わいたくてコーンウォールに住んでいるんだけど、日本食があまりないの。
私はオーディションでロンドンに行く度に、「Yoobi」っていう大好きな日本食レストランに行ってたのよ。娘も時々一緒に来るんだけど、あの子は寿司の大ファンよ。「世界で一番好きな食べ物」って言うのよ(まだ9歳なんだけどね))。
だから、時々あの子を連れて行かないと泣いちゃうの。
東京には若い時に体操競技のために一度行ったことがあるわ。いつか絶対戻ってくると決めてるの。

――最後に日本のファンへメッセージをお願いします。

『HER STORY』を愛してくれた皆さんへ感謝します。私にとって特別なゲームです。
皆さんが楽しんでくれて嬉しく思います。私はいつか日本であなたたちに会いたいです。
ありがとう。

Viva Seifert (HER STORY)

 

HER STORY インタビュー

 

『HER STORY』はプレイヤーが自由な手順によって事件の真相を追求することができる実写を用いたゲームである。短いビデオクリップの中にある様々なキーワードを拾い、それらを検索し、新たなビデオクリップを発見していく。シンプルなように思えるが、実際にプレイしてみて、間に隠された秘密や驚くような発見がある。制作のSam Barlow氏は、このゲームを制作するにあたり、実際の裁判記録や事件の取り調べを参考にしたという。

そして、これまでに存在するゲームの「取り調べ」というシステムに着目し、追求すべきだと思う点において、没入感を与える手法において実現しました。Viva Seifertがインタビュー中に答えた「冷たい部屋」は現実とゲームにおいて確実にリンクしていると思えた。今回は『HER STORY』の撮影における彼女自身の話を聞くことができた。

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